第2回 Primo 洲脇直人 ー後編ー

「卸先めぐり」の2軒目、『Primo』の店主洲脇さんインタビューの後編です!
イタリアで失恋をし、アジアを放浪した洲脇さん。
帰国してから現在への道筋を辿ります。

修行の身から、指導者へ

帰国してからは、横浜駅からほど近いイタリア料理店『オ・プレチェネッラ』で働きますが、ここで『Primo』のマネージャーである井上さんと出会います。自分は料理人として、井上さんはサービスのプロとして。(この頃にはまだ、10年の付き合いの末に一緒に店を作るだなんて想像はつかなかったことでしょう。)

地元である横浜で仕事を続けたいという気持ちも大きくなっていく最中、2年半が経ったタイミングで、イタリア修行時代に働いてた店の1つであった『イル・ドン・ジョバンニ』の店主から「店に戻って来てくれないか」という連絡が入ってきます。

ミシュランで星を獲得するようなこちらの有名店、実はその当時のスタッフが若手ばかりで、厨房で彼らを指導するベテランシェフが必要だという事情がありました。その指導をする役回りとして、店に戻ってきてくれないかという誘いだったのです。

学ばせてもらう立場として働いていた自分が、今度は指導者として必要とされている。その事実が素直に嬉しく、洲脇さんは再びイタリアに渡ることを選択します。20代の下宿生活からは想像もつかないような住まいも用意されていたそうで、その待遇からもどれだけ期待されて招かれたのかが分かります。料理の素材選びから抜かりなく、当時はまだマニアックとされていた自然派ワインを扱っていたお店だったことも、『Primo』に通ずるところがあるのでしょう。

料理長としての横浜凱旋

本場イタリアの名店からも熱いコールがかかり、着実にその実力が周囲から評価されて来た洲脇さん。『イル・ドン・ジョバンニ』での鍛錬が続くと思いきや、横浜『オ・プレチェネッラ』時代の同僚が横浜に『CAMBUSA(カンブ―ザ)』をオープンするというニュースが飛び込んできます。

「料理長として一緒に店をやらないか」という誘いとともに聞いたその話には、嬉しい半面、せっかく招かれて来た今この店を離れて横浜に戻っていいのだろうかという迷いがありました。店主に相談を持ちかけた時の、「自分の生まれた土地でチャンスがあるなら、今やったほうが良い。日本に戻りなさい。」という言葉に後押しされ、『CAMBUSA』の立ち上げから携わるために日本への帰国を決めました。

それから物件探しから関わり、料理長として腕を振るうのですが、実はここでも井上さんと一緒に働いています。『Mui』の大沢さんと出会い、Muiのコーヒーに惚れ込んだきっかけとなるのも『CAMBUSA』。お店のブログ更新も担当していたようで、その丁寧な文章から料理への真摯さが手に取るように分かりました。

目の前の仕事を丁寧に、そして出会ったチャンスは思い切り

『CAMBUSA』での7年間を経て2017年10月、晴れて自身が店主となり『Primo』をオープンです。

独立しようという構想はいつごろからあったのですか?と聞くと、「2016年頃に、そろそろお店を出そうと自然に思うようになりました。」という答え。洲脇さんはなんというか、“野心“や“野望“という言葉は似合わず、その時々に現れる目の前の道を一生懸命走り、チャンスを自ずと活かしているという、そんな印象を受けました。

「色んな方に誘導してもらって、ここまで来れていると思います。」と謙虚に語ってはいるものの、誰がどう見ても評価せざるを得ない努力をしてきた方なのです。(それも心から楽しそうに!)

10年の付き合いになり信頼を抱いていた井上さんも、洲脇さんに続き退社をすると聞いて、次は何をするのかと話をしているうちに「一緒に店をやろう」と誘って二人三脚体制に。

土地勘のある元町・中華街あたりでの物件探しを始めますが、予期せず偶然紹介してもらった空き物件に一目惚れし、即契約。飛び込みで設計事務所に依頼をし、スケルトン状態だった物件をゼロからレストランに改装します。基礎工事からの大きな店舗工事が完了したのは、オープンの1ヶ月前。

なんともテンポの良いその過程を聞いて、直感的判断を信じて実行する度胸を感じ取れたので、これまでの流れもしっくり来ますね。

世界中の文化が集まる港町で、自分の味覚で料理をすること

歴史も古い馬車道という土地で、その土地らしい料理を作りたい。では、横浜の土地柄とはなんだろう?

そう考えた時に、やはり横浜といえば「流通の良さ」なのではないだろうかと考えた洲脇さんは、日本全国、ひいては世界中の美味しい素材を選ぶことを重視しています。

「自分が美味しいと思うもので、料理を作る。」これをとにかく徹底。週1、2で鎌倉の朝採れ野菜を市場まで仕入れに行ったり、業者さんからの提案をもとに常に試食。更に、毎週通ってくださる方もいるというので、メニュー考案で常に頭はフル回転。

素材がよろこぶことをする、という感覚で素材を引き出す調理を探求し、若手のスタッフにも指導をしつつ、もちろん自ら料理をしているという超・パワフルな日々は想像を絶します。(ステーキを800gゆうに平らげてしまうというのも納得。)

そんな日々が「楽しいです」という洲脇さんの作る料理、これを読んでくださったみなさんには本当に是非一度食べて頂きたいです。

ちなみに『Primo』という店名は、「覚えやすくて、3文字くらいでポンと言えるものがいい」という言葉を探して決めたもの。イタリア語で、最初の、1番のという意味なのですが、パスタ料理という意味合いでも使われる言葉です。やはりパスタには思い入れがあるのですね。ロゴマークは、実は井上さんの奥さんが習字筆で書いたもの。「こんなイメージね!」と送ってきてくれた2枚の写真のうちの1つなんだそうです。

元住吉から、東横線に乗ってそのまま地下を辿って1本。

伝統的ながら、どこかゆるりとした長閑な港町に佇む『Primo』まで、洲脇さんのお料理を食べに行こう。

>前編を読む

取材・文・写真
もとすみマニアックず。 山川みずき

 

『Primo』洲脇さん×Muiのコーヒー

1. Muiのコーヒー豆との出会い
エスプレッソって、僕おいしいと思ってなくて、お店に出すならドリップコーヒーがいいなと思っていたんです。
『CAMBUSA』で大沢さんと出会って、Muiのコーヒーを飲むことになって感動しました。
コースの一品として、最後まで美味しいと思って頂ける素晴らしいコーヒーで、「コーヒーが美味しかった」って声を聞くことも多いです。
『Primo』ではMuiのコーヒー豆2種をハンドドリップで出しているのですが、コーヒーが選べるのって、いいですよね。

2. コーヒーに合わせたい、お気に入りのメニュー
是非、ドルチェと一緒に。
ドルチェは、季節のフルーツを使ったものやティラミスなどをご用意しています。

3. Mui大沢さんから一言
ゆるい雰囲気を漂わせてとてつもない料理を作る洲脇さん。
『Primo』オープンごすぐに伺った時に「まだやりたいことの3割も出来てませんよ!」なんて言ってて
いやいやこんな美味しくてそんなわけないじゃん…。
と思ってましたが、伺う度にどんどん美味しさに磨きがかかっていて感動しかありません。

それとお願いなので
「「私はPrimoにコーヒー飲みに来てるのよ」なんて言うお客さんがいるんですよ。」
と真顔で言うのは勘弁してください。

『Primo(プリモ)』
住所:神奈川県横浜市中区常磐町5-72-1
GM横浜馬車道ビル1階
電話番号:045-305-6652
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