第2回 Primo 洲脇直人 ー前編ー

「卸先めぐり」の2軒目は、横浜馬車道駅から関内駅に向かって歩いて5分ほどの距離に位置する『Primo(プリモ)』。

2017年秋にオープンしたこちらのお店は、各媒体でも評判のイタリア料理店。

和をイメージさせる入り口の暖簾に書かれた店名は、なんだかゆるりとした雰囲気を醸し出しつつ、ドアを開けてみると小綺麗な店内でちょっと背筋が伸びるような。

今回は、そんな『Primo』の店主である洲脇直人(すわきなおと)さんに、これまでの生い立ちとお店についてお話を伺いました。実は元住吉住まい、横浜の敏腕シェフという顔を持ちながら、お話してみると穏やかで明るい印象の洲脇さんの核心に迫ります‥!

大食い、エリートサッカー少年の挫折

洲脇さんは、神奈川県横浜市の出身。筋金入りのサッカー少年で、小学生の頃からサッカーを中心にした生活に打ち込んでいました。そんな彼を支えたのは、保育園の給食を作り、”食育”に携わっていた母。毎日の食卓を彩る大盛りの美味しいご飯が、思い返せば彼のルーツとなっているのかもしれません。サッカーに明け暮れる日々は中学・高校と続き、順調に腕を磨いていきます。(市選抜に選ばれたこともある実力者‥!)

将来はスポーツ推薦で大学に入学し、プロへの道を目指そうと道筋を描いていたほどだったのですが、ここで想定外!スポーツ推薦に落選してしまいます。

突如、小学生から身を捧げ打ち込んできたサッカーの道が閉ざされ、絶望の淵に立たされる洲脇さん。この先どうしようか?と考えた末に、一般受験で大学に入学するという選択をしました。そうと決めたら一心不乱に勉強し、和光大学の経済学部に見事合格。何事も、1つ決めたら脇目を振らずにはた走るという性格が根幹にあるのかもしれません。

渋谷の喫茶にて、スパゲッティーとの出会い

実は彼、20歳に至っても尚、ここまで全く「料理」の道を考えていません。これから運命の出会いがあるというわけなのですが、なんとその舞台は大都会・渋谷。大学3年生の当時なので、時代は90年代後半ということになるのですが、その頃の渋谷はカフェブーム真っ只中。

洋風飲食店が多くなってきたタイミングで、先輩となんとなしに入った喫茶店「チロル」で人生が一変しました。そこで食べたスパゲッティー・カルボナーラが衝撃的に美味しくて、「僕もこんなのを作れるようになりたい。」と思ったことが、料理人生の始まり。(『チロル』は今はもう閉店してしまっていて存在しないお店だそうです。どんなカルボナーラだったのかが気になりますね。)

サラリーマン内定を蹴り、職人の道へ

と、その同時期。就職活動もしていて、とある食品輸入会社に内定ももらっていたのですが、なんとなくデスクで作業する自分の姿にしっくり来なかった洲脇さん。自分の手で料理を作る、職人になりたいという思いが強くなっていったところで、またしてもご縁が舞い込んできます。

10年間イタリアで修行を積んできたというシェフがお店を開くので、そのオープニングスタッフを募集しているというお話。包丁もろくに握ったことがないという状況でしたが、あのカルボナーラの味が忘れられずに迷わずアルバイトを始めて、イタリア料理の修行に明け暮れる日々の幕開けです。

卒論をサクッと終えると、週5でみっちりアルバイト。厳しいけど、憧れの料理に関われることが嬉しくて、楽しかったと振り返ります。もらっていた内定も断り、進路はもっぱら料理人への道まっしぐらとなった洲脇さん。大学卒業を前に、なんとしてもイタリアに行かなければと思い、1ヶ月かけてイタリア一周への旅に出たことも重要な原体験です。

大学卒業後、アルバイトをしていた店にそのまま就職をするのですが、この生活がこれまたハード。朝8時半に始業して、遅い時は終電帰りで帰宅すると、イタリア語と調理基礎の勉強。毎日の睡眠時間は4時間ほどだったのではないでしょうか…?

いつか本場のイタリアで修行をするという濁りのない意志で腕を磨くこと5年間、計3軒のイタリア料理店で修行を積んだ日々を振り返っても、「大変だったとは思うんだけど、料理に一生懸命になれて楽しかったですよ。」と語ります。

5年のイタリア生活と、アジア放浪の旅

大学卒業後の仕事を通して基礎技術を身に着けたという実感を得て25歳、「今だ!」と念願のイタリアに渡ります。

狭い部屋での下宿生活。本場での修行は4軒の料理店で30歳まで続くのですが、実はここで1つ大きなターニングポイントが‥。当時、愛を育んでいたイタリア人女性と婚約をしていたというのですが、なんと、その彼女との婚約が破棄に!その大きな喪失感から洲脇さんはイタリアを飛び出し、半年間にも及ぶアジア放浪の旅に出ます。(これまでの流れを辿っていると、イタリアを出るとまでに至った失恋のショックはかなり大きかったのではないでしょうか‥。)

ベトナム、バンコク、バリ島などさすらい、生活費は現地調達というスタイル。バンコクでは現地のイタリア料理店で数ヶ月働き、アジアの屋台でも料理をしていたといいます。

ちなみに、バリ島では何もせずにゲストハウス泊まりで3ヶ月を無心で過ごしたそう。イタリアに限らず、世界の色んな土地の景色を見るのが好きだという旅好きの料理人、ついに「そろそろ日本に帰ろうかな。」と、待望の帰国です。

前編はここまでで!
後編は帰国してから現在への道筋を辿ります。

>後編を読む

取材・文・写真
もとすみマニアックず。 山川みずき

〈店舗情報〉
『Primo(プリモ)』
住所:神奈川県横浜市中区常磐町5-72-1
GM横浜馬車道ビル1階
電話番号:045-305-6652
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