第1回 Però 森田雅人 ー前編ー


第1回目の“卸先”に向かい、元住吉からのんびり渋谷まで。最短ルートで田園都市線に乗り換えて、三軒茶屋駅から歩いて5分もしないうちに、アパートの半地下のスペースをシンプルに改装したガラス張りのお店『Però(ペロウ)』に到着。『Però』は一体どんなお店なのかって言うと、WINE STORE&STANDであり、あくまでも小売がメイン。

…なのですが、店主の森田雅人さんと気軽におしゃべりをしながらも飲み頃のワインの味に酔いしれ、気がついたら次のワインをおかわり。おつまみも追加しちゃって、うっかり長居してしまう人が続出してる。まだまだ昼下がり、なのにワインを飲みたくなってしまうランチプレートの罪深いこと‥。

実はここ、歩いて3分ほど先にある『Bricca』というイタリアンワインバーの2号店で、2017年10月にオープンしたばかり。大沢さんは以前から『Bricca』の店主でありシェフの金田真芳さんの大ファンで足繁くお店に通っていたのですが、その金田さんが2号店の切り盛りを任せたのが森田さんなのです。

今回は、森田さんってどんな人で、そんな森田さんが切り盛りする『Però』の魅力はどこにあるんだろうということで、一緒に思い出のワインを飲みながら、じっくりお話をしてきました!もちろん、金田さんにもインタビューもさせて頂いたので、お二人の揺るがない信頼関係の話もお楽しみに。

酒と接客ギライの建築学生、イタリア料理に一目惚れ

森田さんは、愛知県知多市のご出身。バスの運転手である父、七五三やお正月の家族写真などを撮影する写真家の母との間に生まれ、大学卒業までの22年間をその地で過ごしました。幼少期のことを尋ねると、「団体行動に漠然とした苦手意識があったかなぁ…」とのことで、その証拠に長い付き合いの友人からは「相変わらず、マイペースだね。」と言われることもあるらしい。

小学校から中学校にかけてサッカーに打ち込み、高校に上がって進路を考える時には、母の写真の仕事を継ごうと芸術大学で写真科を専攻するつもりでいたといいます。その時に母から受けた「どうせなら写真だけじゃなくて、もっと広い世界を見なさい」という助言が効いて、グラフィックやプロダクトなども学べるという理由で“内装環境学科”を目指すことに。

そうと決めたら、朝から晩までデッサンの日々。そして日常生活の景色が全てデッサンに見えてくるほど集中して取り組んだ結果、一発合格を果たします!

大学生活の前半は、デザインについて平面から立体までを広く学んで、後半は建築要素の強い“環境デザイン”を専攻。建築家の安藤忠雄氏に影響を受け、西日本の安藤建築を巡る旅に出たり、卒業設計では日本庭園の様式「枯山水」について研究したり… THE・建築学生な生活を送っていたようです。

そんな学校生活の合間のアルバイト先が、イタリア料理店の厨房内だった。今でこそ考えられませんが、接客がとにかくイヤ、更には学生特有の飲み会文化に嫌気が指していて、お酒にも全く興味がなかったというので驚き。ワインなんてもってのほか!ですが、不思議と「イタリア料理」というものに惹かれるものがあったのだそうです。

社会修行を経て、接客が「天職」に

大学を卒業し、いわゆる就職活動をしないで東京にやってきた森田さんは、ポートフォリオを持ち込んで突撃訪問をする形でとある設計事務所に就職を決めました。その後、膨大な量の仕事に追われる過酷な日々を乗り越え、事務所を移動しながらも3年ほど建築業界で過ごしましたが、「この働き方は長い年月やっていられないぞ」と感じて転職を考え始め、やがて退社。

さて、建築を離れて何をしようかと一段落した時に、飲食業界という文字が頭をよぎりました。ちょうどその頃、通っていたお店の人から「森田くんは、ホールに向いてるんじゃない?」と声を掛けられることが不思議と重ったこともあり、自宅から通える距離にあった駒沢のピッツェリア『ラ ビコッカ』に、ホールスタッフとしてアルバイト希望を出しました。

それから日々ホールスタッフとして働くことになるのですが、社会人生活を経たからなのか、それからすっかり接客の楽しさに魅了されていきます。本格的に飲食業に携わろうという思いから別の店に就職をすることに決めるのですが、仲良くなった常連さんに店を辞めることを伝えた時に「やめちゃうの?」という言葉をかけてもらったことで、より一層、飲食の仕事に対する思いが深くなったといいます。

なぜだか心安らぐ、イタリア文化の探求

実は、駒沢『ラ ビコッカ』で働いていた頃に、森田さんとワインとの出会いが潜んでいました。それも2010年の話。自分がお客として通っていたイタリア料理店『ロッシ』の岡谷さんに連れられ、とにかくワインを飲み歩くということが増えるうちに、「岡谷さんと一緒の時は、お酒の弱い自分がいつもよりもワインを飲める」ということに気づいたのが大きなきっかけ。

今まで自分が抱いていた、「酒は頭が痛くなるし、楽しいもんじゃない」という感覚が“誤解”だったんだと分かって、ワインの世界にのめり込んでいきます。それが、いわゆるナチュラルワインとの出会い。(自然なものに自然とつけなければいけないことは嘆かわしい、と森田さんは語っていました。)

その後、ワインへの情熱は高まる一方で、2011年に就職したイタリア料理店では少しずつワインの仕入れを任せてもらえるようになりました。そしてそのお店で初めてイタリア人と一緒に働くことになるのですが、彼の人柄を通じてイタリアの文化を感じ取っていくほど、「自分もイタリアに行ってみなければ」と考えることが多くなります。3年働き、ついに1ヶ月かけてのイタリア縦断1人旅を決行。‥その旅の楽しさといったら!心安らぐもので、自分の性格が日本に合ってなかったのかなと思ったようなほど。

イタリアに住む彼らの、何にもとらわれていないようなマイペースさ、知らない人でも関係なくおしゃべりを始めてしまうようなフランクさ、それでも主張する時はする個のしなやかさ、そんな街のオーラが心地よくて、まるで故郷のように親しみ深かった。その居心地の良さに気づいてしまったこの頃の森田さんは31歳。帰国してから仕事に復帰するものの、「イタリアに住まないと」と考え、その1年後にはローマ留学をすることに。

さて、前編はここまでです!後編は、一念発起してイタリアに留学を決意した森田さんが、『Però』の店長になるまでのお話。
>後編を読む

〈店舗情報〉
Però(ペロウ)
住所:154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋1-40-11 B1
電話番号:03-5432-9784
Facebook:https://www.facebook.com/perowinestoreandstand/

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